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2009年度バルクヘッドマガジン・セーラー・オブ・ザ・イヤーは、チームアビームの原田/吉田に決定です。photo by Junichi Hirai

 2009年の最後は、いまのところ日本で唯一の存在となる、セーラー・オブ・ザ・イヤーの発表で締めくくりたいと思います。このアワードは、バルクヘッド編集部が独断と偏見で決めているもので、「ヨット馬鹿・オブ・ザ・イヤー」の別名があります。馬鹿は不謹慎、と思われる方もいるかもしれませんが、セーリングが大好きなセーラーにとって最高の褒め言葉だと編集部は勝手に判断しています。

 選考の基準は、単発の成績だけでなく、固定観念にとらわれず、日本にこれまでになかった活動や、少々軌道を逸した記録など。そんな、ちょっとした「スゲー」を対象としています(あくまで独断ですので…)。2008年第1回は、ディンギーからクルーザーレース、マッチレースまで、編集部が呆れるほど乗りまくっていた山田 寛が選ばれました。

 さて、2009年度のセーラー・オブ・ザ・イヤーは、チームアビームに所属する原田龍之介、吉田雄吾に決定しました。470級でロンドン五輪を目標に活動する原田/吉田は、13年ぶりに470級世界選手権で銅メダルを獲得、ヨーロピアン選手権で優勝の快挙。さらにロスからハワイまでを走るオフショアレース「トランスパック」に参戦するなど、近年のセーラーにない破天荒な活動が注目されました。

 また、編集部が注目したのは、2008年10月に彼らが挑戦した、470級による相模湾オーバーナイトセーリングです。午前中に葉山マリーナを出港して、相模湾沖の某島を回航するという挑戦で、日が暮れたときは島影にいたそうで、葉山にフィニッシュしたのが真夜中の午前2時。なんと16時間かけて約70マイルを走破しました。「食事はトラピーズに出たままです」「帰りは間違えて(葉山とは逆方向の)真鶴半島に行っちゃいました」とふたりは笑っていましたが、まったくもってすばらしき根性です(※サポートのない状況で真似しないように)。

 ディンギーの長距離航海といえば、1949年におこなわれた横山 晃氏によるシーホース級の航海(横浜から大島、式根島)が有名ですが、原田/吉田の挑戦も勝るとも劣らず。自身が設計したボート性能を確かめる、という目的があった横山さんの偉業に対し、彼らは470級のトレーニングとして挑戦しました。レーシングモードで走り切ったこともおどろきですが、16時間という短時間記録にもびっくりです。この海域を走った経験のあるクルーザー乗りならよく分かるでしょう。

 さらに、今年のトランスパック2009では、2225マイルを13日6時間33分24秒で走破しました。彼らはオリンピックという目標があり、本業ではワールド銅メダル、ヨーロピアン優勝という成績を残し、一方では、オフショアセーリングを体験するなど、両極端にも思える活動をしてきました。彼らの経験がいつどんな状況で発揮されるのか、たのしみにしています。

◎2009年度 チームアビーム・原田/吉田の主な成績
2月 和歌山・2009年ナショナルチーム選考 1位
4月 スペイン・プリンセスソフィア 21位
  フランス・スプリングカップ 4位
  フランス・イエールSOF 5位
5月 イタリア・オリンピックガルダ 5位
  オランダ・デルタロイド 9位
6月 オートリア・470ヨーロピアン選手権 1位
7月 ロス~ハワイ・トランスパック〈Tachyon III〉出場。クラス3位
8月 デンマーク・470世界選手権 3位
9月 イギリス・セールフォーゴールド 13位
10月 江の島オリンピックウィーク 1位
11月 福岡・470全日本選手権 1位

 上記の成績だけをみると「破竹の勢い」のようにみえますが、結成当時からの成績を振り返ると、信じられないほどの成長ぶりがわかります。その辺のことはまた今度。

 というわけで2009年度のバルクヘッドマガジン・セーラー・オブ・ザ・イヤーは、原田龍之介/吉田雄吾に決定です。賞金とか、でっかいトロフィーとかありませんが、ふたりともおめでとう!

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原田龍之介。1985年5月6日。長崎県長崎市出身。海星高等学校~早稲田大。父親の影響で小学5年でOPをはじめる。ジュニア時代に済州島へ航海した経験あり。北京五輪では470女子代表の近藤/鎌田のセーリングパートナーをつとめた。アビームコンサルティング所属。趣味はテレビ。ディープなバルクヘッダー(バルクヘッド読者)でもあります。

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吉田雄悟。1983年11月11日。佐賀県唐津市出身。唐津西高等学校~法政大学。北京キャンペーンでは川田貴章(東京大)と組んで挑戦。クルーワークは日本ナショナルチーム随一。アビームコンサルティング所属。趣味は自転車。オフの日はよく三浦半島を一周しているそうです。

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